【完】君しかいらない
「こんにちは」


挨拶だけしてそのまま通り過ぎようとすると、あっ!といった表情をしてる。


…なんだ?


「…ちょっと待ってて」


一方的に言い残し、また家の中に戻ってく。


…ったく。


親子そろってマイペースかよ…。


小中の兄貴の俊さんと、小中の会話を思い出して、思わず吹きだしそうになった。







少しして小中の母さんが家から出てきた。


「これ、この間愛梨がお世話になったお礼」


そう言って、俺に包みを突きだしてくる。


「…いいです。俺もついでがあったし、別に何かもらうためにやったんじゃないんで」


それに、うちの親宛で菓子の詰め合わせもらったって、親から聞いた。


物をもらっても、俺は嬉しくもなんともない。


「えーっ、そんなこと言わないで?ねっ!」


愛想良くできない俺は、相変わらずの仏頂面で言ってるし、


すげぇ感じ悪いはずなのに、小中の母さんは笑顔で話しかけてくる。


こういうとこも…小中に似てるよな。



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