【完】君しかいらない
「じゃ…」


「あっ、そうそう」


「まだあんのかよ!」


「今日、そっちって花火大会だよね。行きたかったなぁ~」


「奏太に頼んで動画でも送ってもらえば?」


「なにそれー!全然意味ないっ!その場で見るから楽しいんだよ?しかも安元くんが送ってくれないんだ?」


「なんで俺が…」


「フフッ。安元くんって、いつもそう言いながら、ちゃんとやってくれるんだよねー。知ってるもん。写メでいーや。送ってね」


意味わかんねー。


誰がやるか。









小中は本気なのか冗談なのかわからないけど、そんなことを言いながら電話を切った。


…人をからかいやがって。


ホントアイツの言動は読めねーな。


今までならドッと疲れてそうなやり取りも、


今はそうでもなかった。


俺も小中と同じで…


誰かと話したい気分だったのかも。


…電話を切ったあと、


電話を取る前よりも、なんだか気持ちが軽くなっていた。





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