甘恋集め
「……竜我、くん?」

小さな声でそうささやくと、少し不満げに口元を上げて、

「くん、はいらない。大学生にもなってくん付けなんて気持ち悪い」

「あ、そうだよね……。じゃ、竜我……これでいい?」

男性を呼び捨てにするなんて滅多にないから、敢えてあっさりと言いながらも気持ちはぎゅっと縮んでいくよう。

緊張とはまた違うどきどきが体中に広がっていく。

「ずっとそう呼べよ。俺んちに行ったら俺と同じ顔の『真田くん』がもう一人いるから。苗字で呼ばれるとややこしいんだ」

「同じ顔の『真田くん』?」

「そう。同じ顔……っていっても有星は俺よりも愛想がないな」

何かを思い出したようにくすくす笑っている真田くん……違った、竜我くん……あ、じゃなくて竜我だ。

「有星が愛想ないのは昔からで、桜にしか興味のない男。
梅ちゃんにも大して機嫌よく相手する事はないと思うけど、気にするなよ」

そっと私の手に竜我の手が重ねられた。

ただでさえ緊張しているのに、突然伸びてきた手は私を固まらせるには十分で。

「一気に手が冷たくなった気がするんだけど?そんなに俺の事意識しなくていいのに」

この自意識過剰な男の子、どうにかして欲しい。



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