甘恋集め
大学に入ってから、沢山の友達ができた。


高校時代に心臓の手術をしたせいで、一浪した人と同じ年齢の私。

高校生の時は、一年留年している事がとても気になって仕方なかったけれど、大学に入ってみると、一浪している人なんてたくさんいるし、それ以上の経験を積んでいる年上の人もいて、あっけなく私の悩みはなくなってしまった。

母さんはいつも言ってる。

『ちゃんと学校に行けるだけでもありがたいと思いなさい』

頭ではわかっているけど、少ないながらも仲良くしていた友達とは違う学年となった私の不安は大きかった。

それでも、新しい生活の中で、どうにか新しい友達もでき、希望通りの大学にも入学できた私は、とても運がいいのかもしれない。

そう、運がいいんだ。

小さな頃から患っていた心臓の病を克服できたことが、私の運の強さを証明している。

手術の成功する確率はかなり高いものだったから、それを運の強さになぞらえるのは間違っているのかもしれないけれど、成功率100%でなければ不安なんて消えない。

たとえ100%でも、心臓の手術なんて怖くて仕方ないんだ。

だから、その手術を無事に乗り越える事が出来たわたしって、運がいいって思う。





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