コイン★悪い男の純情
24話 壁
 かんなは、東屋の中の椅子に腰を下ろした。


 「壁はこれよ」


 かんなは、すぐ前で立っている淳也に写真を渡した。

 それは、ホテルのロビーで、淳也とリサがキスをしている一枚の写真だった。


 「あっ! まいったな。どうしてこれを」


 「やっぱり、身に覚えがあるのね」
 「誰からもらったのですか」

 「前崎よ。わざわざその写真を見せるために、前崎は私の家に来たのよ。そのために、私は前崎から、レイプされそうになったのよ。私が納得できるように説明して」



 かんなは、目にいっぱい涙を溜めている。



 「前の亭主が、あの場にいたのか。誰か写真を撮っている者がいた事は感ずいていたが、それが前の亭主とは、皮肉な事だな」


 「どう言うことよ。隠さずに説明して」


 かんなは、ぼとぼとと涙を零している。










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