コイン★悪い男の純情
 池公園で、淳也はかんなを待っていた。

 暫くすると、かんなが自転車で現れた。

 「かんなさん、僕、かんなさんを怒らすような事、何かしました?」
 「自分の胸に手を当てて聞いてみたら」

 「自分の胸に手を当てても分からないのですが」
 「・・・」

 かんなは黙って東屋の方に向かって、急ぎ足で歩いている。


 「もし、何かしたのだったら、許して下さい」
 「・・・」

 「もう、絶対に怒らせるような事はしませんから」
 「吉見さん、黙って歩けないの」

 「吉見さんは勘弁して下さい。何か、かんなさんとの間に、高い壁が出来たみたいで」



 「壁を作ったのは、吉見さんじゃないの」


 「いったい、何が壁を作ったのですか」

 二人は東屋に着いた。



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