コイン★悪い男の純情
 「私、淳也さんがわからなくなってきた。だって、淳也さんて二重人格者なの。私の前で見せる顔と、裏で見せる顔が全然違うじゃなの」

 「そうかも知れません。いま、その裏の生活からは、足を洗おうと思っています」

 「本当に洗えるの?」

 「命に代えて洗います」
 「本当に本当」

 「本当に本当です」

 「じゃ、私と指きりできる」

 「出来ます」



 「破ったら、私死ぬわよ。それでも、出来る」



 「出来ます」

 二人は指切りをした。



 「破ったら、死ぬからね」



 「わかりました」
 「本当に仕方の無い人ね」


 かんなは二人がホテルの中で、たとえ一線を越えていたとしても、今回だけは、淳也を許そうと考えていた。









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