コイン★悪い男の純情
 「あほか。犯人は軽トラックの運転手やんけ。嘘や思たら、警察行って聞いてこいや」

 前崎は口を尖がらせて言い訳をした。

 「真の犯人はあんたや。警察は騙せても、うちは騙されへん」

 「話になれへんわ。犯人が捕まったいうことを知らせてるのに、おかしいのと違うか」

 「おかしいのはあんたや。あんたがボール渡さへんかったら、勇太は死んでへん。うちはあんたを絶対に許せへん」

 「あれは、不可抗力やろ」

 「不可抗力やあれへん。あんたの意思や。あんたがへんな魂胆に勇太を利用しよう、と思ったからや。あんたを一生恨んだるわ」

 「お前、勇太が死んだから、頭がおかしなってるわ。もう、切るわ」


 「人殺し。勇太をかえ・・・ツーツーツー」


 かんなは切れた電話に向かって
「人殺し。勇太を返せ。勇太を返せ」
と、わめき、そして、泣き崩れた。






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