コイン★悪い男の純情
 かんなは昏睡状態になっている。

 


 「まだ、生きている」




 そう思うと、急いで淳也は救急車を頼んだ。


 「買い物に時間をかけずに、もっと早く帰ってくれば良かった」

 「かんなさん、なぜなんだ」



 「なぜ、僕のために生きてくれないんだ」


 淳也は悔しさの余り、涙を流した。


 涙でかすむ向こうに、ぼんやりと封筒が見えた。




 「あっ、かんなさんの遺書かもわからない」




 淳也は、封筒の中から一枚の便箋を取り出した。







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