コイン★悪い男の純情
28話 睡眠薬
 「かんなさん、遅くなってすみません」

 淳也はドアを開けた瞬間、何か嫌な予感がした。





 (空気が違う!)





 胸騒ぎにあえぎながら、淳也は急いでかんなの部屋の襖を開けた。




「ああっ!!!!!」




 かんなは、畳に倒れて死んだようになっている。


 その前には、睡眠薬の空き瓶と、数粒の錠剤、コップ、封筒が散乱している。


 「かんなさ~ん」


 「かんなさ~ん」


 淳也はかんなの胸に耳を押し当てた。
 かすかに弱い呼吸音が聞こえるようだ。







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