コイン★悪い男の純情
 「かんな、助かってよかったね」

 母親の奈津子が微笑みながら言った。


 「ええ事なんかないわ。私は死にたかったんや」
 「何て事を言うの。この子は」


 「淳也さん、何で死なしてくれへんかったん」
 「・・・」



 「何で~、何で~・・・」



 「そんな事できる訳ないだろう」


 「何で死なせてくれへんかったん。何で~何で~」

 「かんな、吉見さんに何て事を言うの」




 「私は死にたかったんや。勇太の所に行きたかったのに。うっううう、うっううう・・・」


 かんなは激しく泣いた。




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