コイン★悪い男の純情
 「吉見さん、もうちょっと待ってね。すぐに着替えさせて上げるから」
 「すん ま へん 。堪忍 し て や」

 「吉見さんたら、気にしなくていいのに」
 「お袋、もう少しの辛抱だからな」

 二人は畳をざっと拭き上げた。

 「これで、よし。吉見さん、新しいおむつをして、着替えをさせてあげるからね」
 「あり が とう」

 「淳也さん、吉見さんの体を拭くから、別のバケツにお湯を汲んで下さる。それとタオルもね」
 「了解」

 たえの古いおむつはなぜか外れていた。それで、便と尿がし放題になったのだろう。

 「淳也さん、あっちを向いていてね」
 「了解の了解で~す」

 かんなは便で汚れたたえの着衣を脱がし、便が付いたたえの顔と体をウエットティシュで拭い去った。次に、湯で絞ったタオルでたえの全身を何度も拭き上げた。

 たえを寝かせて手早くおむつをすると、かんなはパジャマをたえに着せた。

 「まあ、こんな所かな。吉見さん、綺麗になったでしょう」
 「堪忍 や でえ~」

 たえは片手でかんなを拝みながら涙を流している。
 
 「淳也さん、もういいわよ」

 淳也はかんなに向かって拝み泣いているたえを見て、思わず涙が零れた。

 「お袋! ううううっ・・・」

 「かんなさん本当にあ り が と う。うう~うう~んっ・・・」

 「そんなあ。私まで涙が零れそう・・・」

 かんなは涙を流している二人を見て、もらい泣きをしている。

 この仕事をして良かった)

 かんなは腰が慢性的に痛む辛いこの仕事をして、これほど充実感を味わった事は無かった。

 
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