コイン★悪い男の純情
2話 エステ経営者
 この仕事は情報収集が命。的が決まれば、ゆっくり、ゆっくり、気配を感じられずに、獲物を罠に追い詰めてゆく。


 獲物が罠に掛かれば・・・絶対に逃がさない。

 獲物からほんの一部の報酬を頂けば・・・自分の正体がわからない内に行方を晦ます。

 獲物を早めに逃がしてやれば、・・・獲物は狩人を恨まない。


 グレーのスーツに、赤とグリーンのレジメンストライプのネクタイ。下着は新品の黒のパンツ。出来るだけ知的に上から中までを纏め上げる。

 純一は適当に時間を潰すと、曽根崎通りにある草月に足を進めた。途中、自動販売機で栄養ドリンクを求め、純一はそれを一気に飲み干した。

 「よし!!」

 右手で拳を作ると、それを思い切り握り締めた。

 純一は久し振りに命がけで仕事に取り込む覚悟でいた。
 地下街で肉うどんを食べ、軽めに腹ごしらえを済ませると、15分前に草月の前で純一は絵美を待った。

 絵美が5分前に現れた。
 絵美は真っ赤の皮のジャンバーの下にピンクのTシャツをさりげなく見せ、スリムなジーンズをカジュアルに着こなしている。
 高級なシャナルスーツから見事な変身。敵にとって不足なし。

 「待った?」
 「いや、少し前に来たところだ」

 「ご飯は?」
 「済ませて来た」

 二人を見れば、今日逢ったばかりとは、誰も思わないだろう。

 「ほな、行こか」

 二人はそこから歩いて5分位にあるラブホテルに向かった。

 


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