コイン★悪い男の純情
 「それは、簡単じゃないですよ」

 純一が呟いた。


 「どうして、ほかのお客さんならそうかもしれないわ。でも、芝ちゃんなら、たやすいと思うけど」


 「リサさんはまだ若いし、お客さんからもてもてじゃないですか。とても、無理ですよ」

 「私もこの世界でただ飯を食ってる訳じゃないのよ。男を見る目は、持っているつもりよ。芝ちゃんは、ただの男じゃないわ」



 「ただの男じゃない?」


 「そうよ。芝ちゃんは女を惹きつけるフェロモンが、たっぷりと出てるじゃないの」


 「そうですかね」
 「そうよ。芝ちゃんなら金がすべての女は別にして、大概の女はイチコロよ」


 「それは、かいかぶりですよ」
 「芝ちゃんなら出来るわよ。その代わりお礼は、たっぷりとさせてもらうつもりだけど」


 「お礼?」
 「ええ、ここに200万円があるわ。これは前金よ」


 薫は、テーブルの上に帯封のある100万円札をポンと2つ置いた。

 

< 79 / 162 >

この作品をシェア

pagetop