らくがき館


「そんなん、契約にもよるやないですか」


と、語りに入った木川田の話に吉田が口を挟む。
木川田の眉間に皺が寄る。


「お前は煩い。今は梶くんと話してんねや。
まぁ、何がいいたいかって言うと、吉田は相方やけど友達やないねん。ただの同僚や。それ以上でも以下でもない」
「せめて仲間って言って下さいよ」


口を尖らせる吉田。


「仲間やないの。同僚」


木川田はそう言って席を立った。
飲み過ぎたらしい。






「木川田さん、むっちゃ捻くれてると思わん?」


木川田を見送ってから、吉田が歯を見せて言った。
言葉の割には嬉しそうな顔。


「俺なぁ、木川田さんのああいうトコがむっちゃ好きやねん」


クシャリと頬を緩ませる。


「仲良いっちゅーより、好きやねん、ホンマ。ただそれだけ。
捻くれてるし気難しいし潔癖やしホンマ面倒な事も多いけど、仕事の事に関しては一途やからね。ああ、この人と仕事したいなぁって思った」
「………。」


そう言った吉田の顔があまりにも幸せそうで。










梶は、吉田がMだと確信した。









「妹尾さん、俺も誰かとコンビで仕事したい」
「……お前、コンビ向きじゃなくない?」
「………。」


梶はマネージャーの言葉に残念ながら納得してしまった。



201212


孤独なタレント・梶くんと敏腕マネージャー・妹尾さん
前に描いたやつをあげてみました。
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