恋する刑事(デカ)~君のハートに狙いをつけて~
紫岐には撃ってもいい場所を選べと言われた。



撃たれる場所を選べと言われても…選べるワケがない。



心愛の為とは言え…撃たれるのはやっぱり嫌だ…



俺は背後に立つ警官に扮した紫岐を見つめる。



紫岐は俺の視線に気づき、帽子を少し上げて紫紺の瞳で見つめ返して、不敵な笑いを湛えた。




「怪盗・マロングラッセと思われる男が現れました!!」


一人の私服警官がドアをノックして部屋に入って来た。



「現れたか…」


ボスは煙草の煙を吐き、テーブルの灰皿に短くなった吸殻を押し付ける。



俺は柱時計を見て、時刻を確認する。



犯行予告時刻までまだ、1時間あるのにーーー・・・どうして?


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