摩天楼Devil
彼女は愉快げに笑う。

ママには、写メの脅しと、ドレスのことも内緒だけどね。


でも、パパが誤解するものって?


「じゃ、私はお店の方にいるから」

と、叔母さんが去った後、封筒を開けた。


同じ色の紙に、『悪用厳禁。紛失重罪』と、重々しい言葉が。


二つ折りにされてたその紙の中に、挟まっていたのは鍵だった。


「え?……鍵?どこの?」


篤志さんから渡されたのだから……


「アパートの……」


そう呟くと、ドキンと胸が鳴る。


――へ?

ど、ドキンって何よ!?


首を振り、鍵を握りしめ、何かを振り払うようにして、階段を駆けのぼる。


ピンポン、と呼び鈴を押す。


反応も、いつもなら聞こえてくる足音もない。


もう一度押すが、同じ。


電話してみようかと携帯を出したが、

持っていた鍵を見たとき、悪戯心に近い、好奇心がうずいた。


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