摩天楼Devil
――何それ。私が服の料金払えなかったから、タダ働きしてたんじゃん……!


ふと、ノートを開いた。


最後のページに、メッセージが。


『ありがとう、妃奈。楽しかった。

ちゃんと勉強しろよ。

じゃあな』


ノートを閉じると、握りしめた。


「ひど、こんなの……」


叔父さんの前だというのに、しゃがみこんで、大泣きした。


次に彼を見たのは、パパが忘れていった、経済新聞だった。


そこに書かれた内容は、理解しがたいものだった。


それを読んだある朝、ぼんやりとご飯を食べてた。


食欲はないけど、ママがうるさいから。


そのママはベラベラと話しかける。


「驚いたわ。藤堂さんとこもいろいろあるのね」


涙を堪えながら、パンを飲み込む。


こちらの様子も気にも留めず、彼女は喋り続けた。


「あ、そうそう。シュンちゃん、覚えてる?」


「しゅ、ん?」


「そう。あんたが12のときに、恋人ごっこしてた子」


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