摩天楼Devil
お茶を持ってきた家政婦は、父さん同様黙り込む。


――るみおばちゃん?


『まさか、隠れて夫と寝たうえに、コソコソ産もうとするなんて、本当犬みたいだわぁ。この人もこの人。“正式の息子”にしちゃうんだもの。まいったわぁ』


なんでも、るみおばちゃんが妊娠して、処理できなくなるまで黙っていたために、

とりあえず産ませ、母さんの子として、済ませたらしい。


『傍にいさせてくれ、だなんて言って。駄目なら、世間にバラすなんて脅して。あんたも怖い女ね。

本当は、財産か、もしくはこの人に未練があったんでしょ』


『やめないか。まあいい、これでいいじゃないか。篤志は貰い受ける。詳細はまた――』


皆が立ち上げる音がして、急いでその場を離れた。


自分の部屋に帰ると、ベッドに座って、聞いたことを整理した。


案外、冷静だった。


母さんがるみおばちゃんを、まるでシンデレラの継母みたいにイジメてたのは気づいてた。


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