摩天楼Devil
義理の兄とあの事件に触れた質問に答えない、と司会者が言うと、ほとんどが黙り込む。

他のことには興味がないらしい。


記者会見を簡単に終わらせ、立食パーティーに入る。


初めは神崎のおじさんと、しばらくすると、一人で挨拶回りをした。


招待客に、取引きや交流のある企業の御曹司も来ていた。


同世代の彼らの傍を通ったときだった。


「藤堂遼の陰に隠れてた奴が、一気に表舞台ってか」


「無知なおぼっちゃまが、一躍シンデレラボーイかぁ」


「しっ、聞こえるぞ」


「ああ、僕のお兄ちゃんも死んでくれないかしら?」


耐えていたが、腹の中で何かが爆発し、最後の言葉を言った奴の元へ戻ろうとしたとき、

誰かに腕を掴まれた。


「相手にしないほうがいいよ」


あまりに冷めた口調に、自分自身も一気に冷静になった。


その男性はスーツを来ていたが、普段は今時の若者らしい服を着てるのだろう。


いつもは無造作か、パーマを当ててそうな長めのライトブラウンの髪を、無理矢理オールバックにしてた。


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