摩天楼Devil
情けないことに、私はあっさり負ける。


「いいさ。腹に入れば、何だって」


そのセリフにはカチンとくるものがあり、


見てろ。絶対、うまいって言わせてやる!


アパートに着くと、中に入る前に、紙袋を返され、自分で叔父さんに渡すよう言われた。

確かにママからのおみやげ(?)だし、私が渡すべきか。


お店は準備中で、仕込みをする叔父さんに、カウンターで手渡した。


「ハムのセット貰ったから、お裾分けだって」


「そうかぁ?でも、店の料理に使うことはないなぁ。どれか、持っていくか」


と、彼は藤堂さんに尋ねる。


私は焼き豚を見て、思いついた。


唯一、自信のある料理。


チャーハンだ。
< 34 / 316 >

この作品をシェア

pagetop