摩天楼Devil
「叔父さーん!いるぅ!?」


ドアを半開きにして、隙間から呼ぶ。


昼間は開店してるから安全だ、と鍵をかけていないんだ。


「おお、妃奈かぁ。上がってこい」


「はーい」と、靴を脱ぎ、廊下を通り、声のした洋間に行くと、

ラジオで競馬を聴いてる中年男が寝転んでた。


「もう、叔父さん!叔母さんはもう下で開店準備してんのに、まーたダラダラしてぇ」


「人聞きの悪いこと言うなよ。ちょっとお馬さんが気になったのさぁ。今、下りる」


彼はゆっくりおきあがる。


「叔父さん、下りる前に用事って何?」


「うむ、いきなりだが、バイトしないか?」


本当にいきなりだな……。

って、ママの怒った顔を思い出す。
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