これが恋だとするならば・・・
途中から照れたように

真っ赤な顔した
智里が言い切った。




初めて智里を
見た時と変わらない、
スキがそこにあった。



智里らしい素敵な考えだった。



俺がスゴク単純なだけだけど、
そうか・・・と納得させられて、


俺が今まで散々憧れていたはずの
白鳥を馬鹿だなぁって思った。




そっか。寂しさに耐える必要はないんだ。
寂しさを自分で選ぶ必要なんかないんだ。


本当に強いのは・・・



誰かと関わって傷つけたり、
傷ついたりを繰り返しながらも
自分を持つ人。




ねぇ。

智里。


智里は残念がるかもね。


だけど、
俺は、

やっぱ、
智里が

誰よりも
スキ。だと思う。




こうやって、



何気ない優しさで
俺の寂しさと空白を
埋めてくれるのは、


もう智里だけかもしれない。





智里といると、


些細で
何気ない言葉が


とても純粋な響きをして
心から体中に伝わっていく。





俺が白鳥なら、



俺はもう迷わない。





空にも
海にも


染まらないで、



智里に会いにいこう。




寂しいと泣く俺を
ほっとけるほど智里は
器用じゃないから、


きっと優しさを分けてくれる。




自ら孤独を選ぶ俺は、
もうどこにもいなかった。




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