これが恋だとするならば・・・
よく分かっていた。


殴った奴と
ムキアワナイ俺が
一番悪いこと。

殴られて、
それでムカつかない俺が
一番悪いってこと。



シラトリは


いつだって


一人を選ぶ。



一人のやさしい女の子は


≪自ら一人を選ぶ必要がない≫と
≪それは寂しいことなんだ≫と



俺に教えてくれたけれど、




それが


今までの
俺の生き方だったんだ。





理屈は分かっていても
そう簡単には変えられないんだよ。





だけど、
今の俺の気持ちは
理性や優しさと、
遠いところにある。




ムカツクなんかじゃ
いい表せない俺の気持ち。




別に俺があいつ等を殴ったのは、


一人を選ぶためじゃなくて、



それは


俺にとって

最大の禁句だった。





体が勝手に動いていた。






≪ユウカ≫。




それは俺にとって大切な人で、


俺の心の一番深いところにいる人で、



他の奴に


その名前を


呼ばれるだけで


俺だけの≪ユウカ≫が


汚された気がした。







「智里・・・??」




まさか、


みられてるなんて



思ってなくて・・・。




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