これが恋だとするならば・・・
その時


あの≪シラトリ。≫は


きっと先輩なんだと知った。





空の青にも
海の青にも
染まらない鳥。


悲しいわけ
じゃないんだよ。


自分で孤独を望んだんだから

それは誇らしいことなんだよ。




まるで自分に
言い聞かせるような
先輩の声。




自ら一人を望む


≪白鳥≫は


きっと先輩自身のことを



さしているんだと


私はその時やっと気付いた。








「・・・それを闇っていうのかなぁ・・・・・・。」






あんな寂しいことを
考えてしまう先輩をつくった過去。


平凡な暮らしをしている私には
分からないものなのかもしれない。



苦しい。


それは鼻に残る
鉄の匂いのせいかも
しれないけれど、



先輩に触れられた手から
私の心臓まで


寂しさが
伝わっていったんだ。






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