マイスタイル
毎年、毎年、好きな人がいたって作っていたチョコは、いつも仂のものだった。

好きな人がいなくても、チョコを作っていた。

友チョコを作る前に、大切に、作っていた。

それは仂のだから食べちゃダメ。

お父さんが、苦笑いしてた。

お父さんのは仂のやつの次か

なんて言って。

仂を怒らせちゃだめだもん


それは、喜んでほしかったから。

いつも、隣で笑っててほしかったから。

呆れられたくなかったから。

もしかしたら、

好きになってほしかったから‥‥?



雑誌が足元に落ちてることなんて、気にしなかった。

「ばか」

「なんだよ」

「とっておきのレシピがあるんだから待ってなさいよ」


まだ、間に合う


そう言ったよね。


「ずっと待ってますよ。去年からね」


仂の嫌味が、なぜかうれしかった。


ねぇ、何を作ろうか。


誰かさんのおかげで、お菓子作りはお手のもの。


あぁ、今年は、ふたりで食べても、いいかもしれない

だからとっておきのレシピ。



「フォークどこ? ここんち配置変えたのかよ」

「文句いうな!」

「つーかチョコレートフォンデュって、おまえ作ってねーじゃん」

「うるさいな。めんどくさいのよ。作っている間隣でうろちょろしてるヒトの相手するのが!」

「おれいちご。」

と、並べたフルーツをつまみ食いする仂。

「ちょっと高かったんだからね!」

「はいはい」

ふたりでお金を出しあって、バレンタインとホワイトデーを一緒に。

「毎年これでいくか」

「勝手にしてよ」


あなたに、逆らえはしないから――――


今までも、これからも




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