cocoa 上



 こうちゃんがモテ始めたのは
 私が小学6年生で、こうちゃんが
 中学1年生の時だった。


 学校帰り何気なく家まで
 競争してた道も、

 たくさん笑い話した公園にも
 こうちゃんの姿はなかった。


 こうちゃんは中学に入ってから
 大好きなバスケができる
 バスケ部に入って毎日練習だった。


 毎日練習だというのに
 こうちゃんは嬉しそうにプレーを
 している姿を何度も
 体育館の外から見えていた。

 そんなこうちゃんの姿をみて
 周りの女子はいてもたっても
 いられなくなったのだ。


 春には告白、

 夏には誘い、

 秋にはパーティーへの誘い、

 冬にはバレンタインのチョコ。


 たくさんのチョコをかかえて
 食いきれず私と桃も
 食べていた時もあった。




 ふと、何気なく窓の外を見ると。



「校庭10周!」

「まぢすかー!?先生勘弁ー。」


 校庭から聞こえる大きな声。 

 こうちゃんだった。


「なにあれ、結局怒られてるぢゃん…(笑)」


 くすくす笑う私。
 
 水谷にいちゃもんつけるこうちゃんの
 姿があまりにも可笑しかった。



 てか普通気づくでしょ。

 1年と2年のジャージの色
 違うんだからさ。


 本当あいつ馬鹿だよね、まぢで。


「!」


 こうちゃんの後ろに
 立っている人影に目をやる私。

 あれ、あの人は…。



 こうちゃんの親友。
 中川海斗先輩だった。 
 

 この前も確か
 学年1位だったよね、中川先輩…。

 あのルックスに知的な雰囲気。
 かっこよすぎだよね、うん。


「あ、中川先輩だ!」


 窓の外を見る桃。きっと桃は
 先輩が好きなんだろうな。


 桃を優しく見つめる私。







 このあと、2人の絆が
 壊れるとはその時の私には
 全く想像できなかったのでした。


< 4 / 56 >

この作品をシェア

pagetop