もっと早く逢えていれば良かった
お父さんへ

あたしが病気だったせいで家を継ぐことができなくてごめんね。

ただ生まれてきてお父さんに何もしてあげられなくて、ただ死ぬ。
そんなの嫌だった。
本当は家を継いであげたかったの。

ちょっと違うかな。

きっと、ここにいる存在価値を残したかったのかもしれないね。


『どうしてあたしは生まれてきちゃったんだろ?』
『何もしてあげられない、親孝行ができないならどうしたらいいの?』


そんなことずっと思って生きてきたの。

ただ入院費を払ってもらってるだけ。
申し訳なかった。


でも、お父さん。
あたし、生まれてきて良かったよ?
主治医の昴に会えたから。
楽しかったよ?


お父さんは毎日仕事で大変なのに、あたしは昴と楽しんでたなんて絶対お父さん怒ったよね…。


万が一そうでも、お母さんと結婚してあたしを産んでくれてありがとう。


天国から見守っています。


ありがとうございました。





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