Go to the...

運命



     *


笑顔のキミは消えて、悲しむキミがいた。


どうしたの?

キミは何も言ってくれなかった。





・・・。


目を覚ますとキミはうつむいていた。

  キミはそうすると思った。


ボクにそんな顔しないで。

つらいんだ。


それと・・・。




「ごめんね」
「なんで?」

黒い瞳は、今にも涙が零れそうなほど濡れている。
そんなキミを見てボクは何を言えばいいの?

「病気はよく分からないけど痙攣が酷いんだ。」
「そうだったんだ・・・。」
「でも大丈夫」
「なんで?」
「それだけだから」

こんなことを言える立場じゃないけど、
キミには知っておいて欲しかった。
ボクの心の内を・・・キミには・・・。

「治らないんでしょ?」
「うん・・・。」

一瞬言葉に詰まるキミ。
ボクの幸せな時間。
どんな話でもいいから。
キミと一緒にいたかった。

「死ぬかもしれないんでしょ?」

そう、人間誰でも死ぬ。
でもボクの残りの砂時計。
キミよりも、誰よりも短い。

「いいんだ。ここまで生きられて十分。」


「・・・。」

かける言葉が見つからない?
それでもいいんだ。


「夢もあるけど、叶わない。」

この言葉が、ボクの心と
キミの心にグサリと刺さる。

「何で?」

「これは運命だから。」



< 15 / 56 >

この作品をシェア

pagetop