Purewhite Devil

翼を持つ少年

新月の夜。


生温い風を受けながら、男は一人窓際に腰掛けていた。


風につられるように靡く髪。


男は気にする様子もなく静かに遠くの空を眺めている。



『説教でもしに来たの?』

『いいえ、久しぶりにお話でもしようと思い寄らせて頂きました』

『話、ね――』



男は立ち上がると窓を大きく開け、中に入るようにと促した。



『宜しいのですか?』

『空を飛びながらだとゆっくり話せないだろう。それに誰かに見られたら厄介だからね』

『後者の理由が本音でしょう?』

『相変わらずお前は可愛くないね、ラグエル』

『可愛い等と思われたいと思った事はございませんので、それで結構です』



男は可笑しそうに口元を緩めた。


ラグエルは部屋に入るなり翼をしまい、椅子に腰掛けた。



『靴を脱いでもらえるかな』

『あぁ、そうでしたね。失礼致しました。ここが日本だという事をすっかり忘れておりました』



ラグエルは若干面倒くさそうに靴を脱ぎ、座っている椅子の横に綺麗に並べて置いた。






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