Purewhite Devil
うーん――教科書見ながらでもサッパリ分かんない。


いくつか解いてはみたけど、あってるかも分かんない。


このまま帰っちゃおうかなぁーなんて思っていると、クスクス笑う声が聞こえて私は顔を上げた。



「土屋先輩――何してるんですか?」

『優樹菜ちゃんに乃愛ちゃんが居残りしてるから、良かったら数学教えてあげてほしいって言われて様子を見に来たんだ。プリント見ながら百面相してるから、可愛くて暫く眺めてた』



可愛いって言われると嬉しい様な恥ずかしいような――。


いや、百面相してたって事は恥ずかしさの方が勝ってるかもしれない。


てか優樹菜の奴――余計なことをっっ!!



「わざわざすみません。でも自業自得なんで、自分でなんとかしますから土屋先輩は気にせず帰って下さい」



土屋先輩は柔らかく微笑むと、私の前の席へ腰を下ろした。


え?



『一緒にやった方が早く終わるよ』

「いや、でも――」

『俺が一緒にいたいだけ。だから口実をくれないかな?』



ここまでストレートに言われると何て答えていいか分からず、私はぎこちなく頷いた。






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