Purewhite Devil

ざわつく心音

後一限頑張ればお昼だ。


泉堂君とのお昼。


泉堂君と一緒にいると安心するし、胸がくすぐったくなる。


きっと――たぶん、好き――なんだと思う。


そう自覚するようになって前よりもお洒落に気を使うようになった。


泉堂君は気付いてなさそうだけど。



「まぁた上級生に呼び出されてる」



優樹菜の視線を追うと、その先には怖い顔をした女の先輩に囲まれている同じクラスの須藤 りり(スドウ リリ)がいた。


彼女はあんな状況にも関わらず、脅えた様子も泣きそうな様子もなく、無表情だ。


泉堂君の女バージョンだ。



「須藤さんもほんと懲りないよねぇ」

「何が?」

「ビックリするくらい男好きじゃん。女がいようがいまいが見境なく男をくっちゃうから、女からの呼び出しが絶えないんだろうね」



くっちゃうって――食べ物じゃないんだから。


先輩方に反抗する様子もなく、須藤さんは無表情のままついていくように教室を出ていってしまった。


大丈夫なのかな。





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