モノクロ*メランコリック


ムーっとしてシロの顔を見ていると、彼はシチューを食べながら、「よかったね」と言った。


「へ?」

「…本当の性格出して、話せるひとが増えたこと。嬉しそうじゃん、美愛子」

「…………」


彼はイラついたような顔をして、スプーンを持つ。

その顔を見て何も察することができないほど、私は鈍感ではなかった。


「………嫌なの?」


シロの手が、ピタリと止まる。

彼はシチューの皿へ目を落としたまま、私の次の言葉を待った。


私はそんな彼の反応を呆然と見つめながら、口を開く。



「……嫌なの?私がこうやって話せるひとが、増えること」



伊達に十年以上も、幼馴染はしていない。

それでも、目の前の彼に、信じられない思いがしたのは本当で。


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