モノクロ*メランコリック


ーードン!


「え、うわ、何」

思いっきりぶつかると、シロは驚いた顔をして振り返ってきた。

前を歩いていたみんなも、一斉にこちらを見てくる。

私は慌てたような顔をして、しおらしく「あ、ごめんっ」と謝った。


「つまずいて、ぶつかっちゃった。ごめんね進藤くん」


もちろん、どこにもつまずいてなんかいない。

完全に故意だ。


だけどみんなは、アハハと笑ってくれる。

それに比べ、シロのこのイラッとした顔よ。

私の方を向いていてみんなに見られないからって、『シロ』の顔全開。


ふん、飼い主である私に歯向かうからいけないのよ。

合コンなんかにきて、どうするつもりなの?

彼女あさり?女遊び?

女の子と付き合う気はないけど、女の子とは遊びたいみたいな?どんなチャラ男よ!お母さん悲しい!!


みんながまた進行方向を向いたことで、私はちらりとシロを見上げる。


シロもちょうどこちらを見ていて、うんざりした顔を向けてきた。

口パクで、『怒るなよ』と言ってくる。

私はこれ以上ないほどに睨んでおいた。


「……………」


それからずんずん前を歩くと、シロは後ろでため息をつく。

…なーによ。


ため息つきたいのはこちらの方よ!



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