モノクロ*メランコリック


挨拶するのも忘れて、口をパクパクとさせる私に、瑠奈ちゃんが「大丈夫?」と声をかけてくれた。

私は慌てて「大丈夫」と返すけれど、もちろん頭の中は大丈夫じゃない。


……そりゃ、シロが来る可能性も、考えなかったわけではないわよ。

シロは、澤野くん達と仲がいいし。

でもそんな疑惑、一秒で消え去ったわよ。


だってシロは、こんな合コンみたいなものに参加するタイプじゃないもの。

それもあるし、まずよ、まず。


あなた、数日前の自分の発言を思い出してみて?

胸に手を当てて、ふりかえってみて?


シロは、私のことが好きなんじゃなかったの?



「じゃあ、行こっかぁ〜」


花凛ちゃんが部屋をとってくれて、ぞろぞろと八人で移動する。

私は、わざといちばん後ろで歩いた。

私の前を歩く、シロの背中に体当たりをかますために。



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