モノクロ*メランコリック


私は気恥ずかしくて、ふいっとシロから目をそらした。


「…シロの、馬鹿」

「馬鹿でいいよ。美愛子が可愛いのが悪い」


そう言って、シロは私の頬にキスを落とす。


……なんなのよ、この男。

今まで、こんな風に私のこと『可愛い』なんて言ったことないくせに!


言われ慣れてるはずなのに、好きなひとに言われる『可愛い』は、威力が百倍だわ。


「…私が可愛いのは、当然よ」

「はいはい」


シロはもう一度、私を抱きしめた。

本当に大事なものを抱くように、彼は私を包み込む。


ふんわりと、それでいてじわりと、私の中に愛しさが広がった。


…誰もいないとはいえ、教室でシロとこんなことしてるなんて。

今日の記憶だけで、ご飯四杯…じゃないわ、何考えてるのこの変態。



< 350 / 361 >

この作品をシェア

pagetop