ぶるー。
<明日の用意教えて_(._.)_>
是永は絵文字や顔文字を乱用する人で、いつも明るいメール。
逆に葵は面倒くさいので文字だけで返信する。
愛想が無いと言われた事もあるが、気にしていない。

<国語数学地理音楽体育>
<みずらっ(笑)!!ありがとな(-^〇^-)>

携帯をおいて枕を握ると、ふと凪のことを考えてしまった。
ー今日も綺麗な髪だったな…相変わらず1本だけアホ毛があるけど。
もし生まれ変われるなら、藍になってみたかった…。
重い気持ちで目を閉じ、そのまま葵は眠りに落ちてしまった。



「あれ、アイツは?」
朝、学校に来た秀は藍に問いかける。

「葵?寝坊したんだってさ。珍しいよね」
「へぇ~じゃあ何時ごろ来るの?」
「2限目くらいじゃないかな?」
ふーん、と肩を落とす秀に、藍の目線が刺さる。
その目はきらきらと輝き、希望に満ち溢れている…。

「もしかして是永って、葵のこと…」

「バ…ッ好きじゃねぇよ!!」
思わず大声を出してしまい、キツそうな顔で返す。
藍は驚くようにこちらを見ている。
そのとき、目の前を誰かが通った。
綺麗な赤茶の髪を見た途端、それが誰なのか秀は理解した。

「凪っ」
藍の目が、さっきよりも輝いた。

「何か妙に騒がしいなと思って…なんの話?」
理由によっては許さない、という目で凪は秀を睨んだ。
「何でもない!!ね、デートどこ行くの!?」
無理やり藍が話題を変える。
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