シーサイドブルー
生きることの意味なんて死んだら分かるものだと思っている。
そうなると生きることの意味というよりは生きたことの意味になるのだろうが。
生きる意味を必死に探すのが生きている間だとしたら、今の俺のような状況になって初めて、自分の人生を反芻することができるのかもしれない。


彼女は苦しみながらも、自分の想いに対して誠実だった。
後悔はなかった。
だから惹かれた。とてつもなく、強い力で。


「…好きだよ。今日見えた君らしさが、とてもね。」


だからどうか、君にも自分を好きになってほしい。
君らしさを大事にしてほしい。


君は本当はこの世界から姿を消したかったのかもしれないけど。
それでも俺は君にまだ生きてほしいと願うから。


…ごめんね、勝手な話で。


「…でもだからこそ、君に声が届いて良かったと思える。」


良かったよ。君で。
君が良かった。


「だからどうか、生きて。」


薄れゆく意識と透き通る自分の身体を確認しながら最後に見たのは、彼女の年相応な寝顔だった。


「…またいつか、会えますように。」

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