涙の理由を、君は知らない
「ほら、乗りな」
「……またね」
彼に促されて、バスに乗る。
「……じゃあな、」
扉が閉まる音と共に、背中に彼の声を聞いた。
その声が余りにも優しくて、振り返れなかった。
なんで、そんな、愛しいものを呼ぶみたいに、優しく言うの。
今、振り返ったら、また涙が出てしまう。
なんとか席を見つけて座り、やっと後ろを振り返る。
だって、もういないと思ったから。
なのに、
「――――っ!」
.