新撰組蝶乱




それに気づいた男が、こちらに向き直る。




「まず…」




土方が口を開く。




「名を名乗れ。なんの用でこの時間にここに来た。」



厳しい口調の詰問に、初めてその男の口が動いた。




「…これは名乗り申し遅れて失礼。」




低い、しゃがれた男の声。




「我が名は不知火。松平公の命により参上いたした。」




しっかりとした声音に、土方は質問を続ける。




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