新撰組蝶乱
「松平公から?…あの方は用がある時は必ず、俺達を、呼ぶ。今まで使いを寄越したことは一度もねェ。てめェ…本当は攘夷の手の者じゃねェのか?」
「…近藤勇氏はおられるか。」
男の言葉に、土方は素早く沖田に視線を送った。
沖田が、頷く。
「俺です。」
攘夷浪士が身分を隠して敵の親玉を狙う時、決まって使われるのがこのセリフだと言うことは新撰組の誰もが知っていた。
沖田が、男の約2メートル前まで進む。