この場所で。



「なにかあったの?」



この保険医は、おそらく恋愛のいざこざとでも思っているのだろう。



本気で心配する様子もなく、ただの興味本意。

もしくは、先生としての"慰め"や"心のケア"のつもりか?



………アホらし。




でも、莉緒が泣きながらっていうのは気になる。



それに、なんで俺なんかの手当てを………。








いや、考えても無駄か。


どうせもう会えないんだ。





雅人とだって、顔を合わせずらい。








当分学校には来ない方がいいか………と、保険医からハンカチを引ったくって、保健室から出た。








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