Quiet man
それから

携帯の会社へ連絡したのだ。

そして今、明日から

働く店に顔を出しに来た。



「だったら心配ないわね。ねえ、

ナギちゃん。今日ちょっとだけ

腕慣らしして行きなさいよ。」


「アナ空き?」


「うふ。そうなのよ。

服はこっちで貸してあげる。」



ギャラも出ると云うし、

二つ返事で

着替えて化粧もばっちりする。


もうなんだかんだ云って七時。

どうせ最初はヘルプなのだ。

緊張する事もないだろう。




「こんばんわー、

いらっしゃいませー。」


「このコ、マキちゃんの

ピンチヒッターなの。」


「ナギコですぅ、

宜しくお願いしますー。」


「おー、若いね。」





席を空けて貰って

するりと滑り込めば良い。


笑わせて、

褒めて、また笑わせて。

ただし、

そこはハンパなく笑って貰う。


そして、

いい気分にさせてドンドンと。

生粋の大阪人流の仕事ップリ。


ママは、新地であたしのそんな

仕事ぶりに目を付けて

自分の店に欲しがったのだ。



「面白いコだな~。」



お客も自分も、

なんかノッてきたなぁと

思っていた矢先のことである。



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