Quiet man
「結婚前提に付き合って欲しい」



彼も・・あたしの事は知ってる筈。

それやのに何で・・?


「ゴメンなさい。まだ・・、

失恋したばっかりやから。」



それだけ云うのが精一杯で・・。

俯いてしまった。




「解った・・それやったら、

友達としてでもいいから。」



強引にそう押し切られると

さすがに立場上、

何もよう云われへんで・・。


こうして仲良くして貰ってる

今も、どっかで困惑してる

ぐらいやってん。

申し訳ないけど、たぶん・・

恋愛には発展せえへんやろし。



「ん? ここ空欄?

来れないんですか?」


「うーん。その予定やってん

けど、何か都合つかへん様に

なったらしいわ。ボランティア

やし、強く言われへんかった。」


「そうですか・・残念・・。」


「あ、でも彼の事務所から連絡

があってな?

空いてる手品師でも送るって。」


「へー! それいいですね!」




子供番組からヒットを飛ばした

歌手に来て貰うつもりだった。

しかし、彼の名は何処にも無く

埋まっているハズのプログラム

には不自然なスペースが。


子供達もすっごく楽しみに

してたんやけどな・・。

でも、来れないなら仕方ない。


手品師か・・、さすがに売れ

ても、ボランティアの精神を

忘れてないもんなー・・。



"最近はさー、俺も歳くったよ。

ちっちゃなワンコをね?

見てるだけでも泣けてきたりさ"



・・・うふふ、

今でも子犬見ただけで

泣いたりしてはるんやろか?







・・・・・えー!


お寺の境内ではもう

"つくつくぼうし"が鳴いていた。

仕事帰りにお寺に寄ったのだ。


早いなあ・・と時間の流れを

感じながら長い石段を登りきる。



「お父ちゃーん・・。アレ。」



誰やろ、

お墓にお花とお線香の跡?












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