Quiet man
「近くってゆうてなかった?」

「うん、もうソコ。」




騙された。

まるで連れ去りの距離やんか。

車に乗ってからもう約一時間・・。


はっ・・・・! もしかして。

ヘンなトコロに連れ込む気・・!?


まさか・・

"お礼はカラダで"

とか云うんちゃうやろなぁー!?


お水系は軽く見られがち。

そして車に乗ったのはあたし。


ホイホイ着いて行ってラブホに

連れ込まれるなんて話はザラに聞く。



( えー? そんなん、イヤー・・!)



「あっ、そだ。」



びくっ。




「これ、よかったら。」

「へ・・・、チケット?」




彼が取り出したのは

二枚のチケットだった。

あたしが、ああだこうだと

考えてるのも知らず・・


"しょーがないから渡しとくか"

っぽく、

目も合わさんと面倒臭そうに。




「あさって。俺、歌うから。」








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