Quiet man
車に乗り込み、

マンション近くまで送って貰う。


道が空いていた為か、

あたしと彼なりに

話が弾んだせいか。



帰りはアッと云う間に到着した。



「ね、"ナギ"って呼んでいい?」

「・・? うん。」



皆、"ナギちゃん"だから

全然違和感ない。

で、アッサリ答えると

何故か口元だけほくそ笑んで

"うん"と返ってきた。


今までそんな風にいちいち

許可を求めて来たのだろうか。



「待って」



車を降りる時、

わざわざ回ってまで

手を貸してくれた。

意外と

親切やなぁと思っていたら。


地に足を着けた途端、

あたしの肩をグイと抱き・・

両手を体に巻き着けるのである。



「待っ・・。」



そりゃ、動揺もする。

これはなんの、意思表示なのか。

当たり前の事さえ・・

解らなくなってしまうほど。







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