Quiet man
「台無しだっつの・・。

考えゴト?」



あたしの突き出していた下唇を

彼の指がぷるるんと軽く弾いた。

ただそれだけだったのだが・・


考えている時のあたしの唇は

よく"いかりやさん"化

するらしいが・・・。



そんな事で

いきなり唇に指で触れるなんて、

ちょっと、馴れ馴れしい。


ヘンな感じ・・、普段なら

そんな事思わないクセに。

あたしも変だ。



「え・・? ううん。」

「コレね、さっきの続き。」




そう云いながら置いてある

紙ナプキンを取り、

ペンで何か書き出した。


意外とカワイイ字を書く。

名前と携帯の番号そしてメアド。



「神足良幸 

<こうたり・よしゆき>? なんか

すっごい、賢そうな名前・・。」


「そうかな、そっちは?」



書いて返すが下の名前が

読めないのだろう、

少し首を捻ってる。

すっと

読めた人は今までいないから。





「<和祇>これでナギやて。

変な名前やろ。」


「そう?・・・そろそろ行く?」



頷いた私を見て、

吸っていた煙草の火を消した。



「いいよ。」


俺が誘ったからと、

レジではお金は出させなかった。




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