キオクノカケラ


小さな肩に、簡単に折れてしまいそうな華奢な体。

心配で放っておけない。

手を離してしまったら、どこかに消えてしまうんじゃないか。

あの時のように、オレの前からいなくなってしまうんじゃないか。

そればかりか頭を支配する。


「結城…くん……?」


いつまでたっても無言のままのオレに、
詩織が不思議そうな声をあげる。


しばらく沈黙が続くと、彼女が躊躇いがちに抱き締め返してきた。

体温が心地良い。


もう、このぬくもりを失いたくはない。

今回で全て終わらせてやる。


全て……。


「ねぇ、結城くん。
絶対無茶しないって、約束して」


うん。とすぐには答えられなかった。

きっと、オレは詩織を守るためなら、

いくらでも無茶してしまうだろうから。

絶対、なんて保証はできない。


「私のためを思うなら、お願い。

怪我したり、無茶したら嫌だよ」


「……善処するよ」


「約束、だからね」


「あぁ、約束だ」


そう言って彼女の顔を優しく持ち上げると、

泣きそうになっている彼女に優しく微笑んで、

そっと唇を重ねた。



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