キオクノカケラ
第3章
「ん……」


カーテン越しから差し込む日の光に目を細めて、上体を起こす。

もう朝、か……。

まだ眠気が完全に飛んでいない頭で、視界がぼやけたまま

ベッドの頭のほうへ手を伸ばす。



………あれ?


時計がない…。


いつもあるはずの時計に触れない。

その前に、時計が乗っているはずの台自体がない。



あれー…?


だんだんはっきりしてくる視界に目を凝らすと、

………部屋が違う。


そもそも、ベッドの横に窓なんてなかった!!!

ようやく覚めた頭で、昨日のことを思い出してみる。



えっと…昨日は確か、洗濯して、掃除して、昼食つくって、倉庫の片付けをして、洗い物の途中で買い物に行って……、

そう、その時に………。


「朝から何を考えているのかな、詩織?」


「ゆっ、結城くん!!」

俯いた顔を上げると

そこには綺麗に整った顔が視界に広がっていた。


息づかいが聞こえるほどにまで近づいた顔は

とても17歳とは思えないほど色っぽくて、

私の心臓はどきんと跳ね上がった。


「やあ、おはよう」


「お、おはよう…ございます、です」


動揺したせいで、とんちんかんなことを口走る私に、

彼はくすりと笑った。


「うん、おはよう」


「章が朝食を作って待ってるんだ。行こう」


「う、うん!」


そう言って片目をつぶる彼に、また心臓が跳ね上がった。


あれ…

でもなんで、こんなにうるさいんだろう。
私の心臓ってば。

< 24 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop