“俺の女”
「あかりさん…!!」
後ろから聞こえる声を
無視し、あたしは
店を後にした
何もかも恵太くんのせいだ
別に別れたわけじゃないけど
ヒロさんとの距離を
遠く感じるのが寂しい
どうして
こうなったのか
全部 恵太くんのせいだ
ヒロさんの
あたしに対する想いは
聞けるかもしれないけど
寂しさなんて
覚えたくないよ‥
ずっと傍に
いてほしいのは
ヒロさんだけ
ヒロさんだけ
愛してる
店を出て少しいったら
細い路地に入った
ギリギリ車が二代
すれ違えるぐらいの道を
一人で帰る
すでに暗くなってる外は
女一人じゃ確かに怖い
早歩きで
駅までの道のりを
急いだ
その時
前に見慣れた車が
あることに気付いた
「‥ヒロさん‥?」
でも
いるはずないし
送り迎えは
今してないもんね
同じ車なんだろうと
その車に徐々に
近づいていく
近づくにつれ
あたしは目をこすり
中を重視する
ヒロさんじゃないと
思うけど
やっぱり気になる
そして
あたしは見えてしまったんだ―‥